2009/5/18 MON
16日未明、元日銀総裁の速水優さんが亡くなられました。
銀行時代、為替市場、債券市場、株式市場に
実際参加してきたかめさんにとって、
日銀がメインプレーヤーになる短期金融市場は
体験したことのない世界。
でも日銀が誘導する翌日物金利が
為替相場、債券相場、株式相場すべてに
強い影響を与えるだけに、
どんなマーケットに身を置いても、
日銀の動向には細心の注意を払っていました。
中でも速水さんは世界の中央銀行総裁として初めて
ゼロ金利政策を採用した方。
その当否はご本人が総裁退任の際に言われたように
「海図なき航海の評価は後世にゆだねるしかない」
と思いますが、
実際に金利政策を決めるのは日銀政策委員会です。
その政策委員会、1998年の全面改正前の日銀法では
スリーピングボードと呼ばれ、いわば飾り物でした。
改正前の日銀は城山三郎さんも
「小説日本銀行」で描いているんですが、
法改正後の日銀、
特に名実ともに最高意思決定機関となった
政策委員会の様子を活写した小説は
「日銀券」が初めてだと思います。
小説「日銀券」に脇役で登場する真山総裁、
上巻こそ目立たない存在ですが、
最後には政策委員たちから拍手が湧き上がります。
さて、実際の速水さんはどうだったのか。
新聞各紙の評伝と読み比べると、
一層興味が湧く小説「日銀券」でした。